快楽亭ブラック独演会@テイト

快楽亭ブラック独演会

快楽亭ブラ坊 :「置泥」
快楽亭ブラック:「全女番」
快楽亭ブラック:「せむし茶屋」
-仲入り-
快楽亭ブラック:「七度狐」

新宿ヨドバシ裏手の蕎麦屋「渡邊」(来店二度目)で、軽く昼食。盛りと、板わさと、さつま揚げと御酒という俺の黄金ラインナップ。美味しかったわぁ~。今度は夜に来よう。

その後、歩いてテイトまで。待望のブラック師匠の落語会。

快楽亭ブラ坊さんは「置泥」。道楽亭の前座さんの会で、また会いましょう。

ブラック師匠。放送禁止用語満載のエロな枕からの一席目は「全女番」。これは古典の「湯屋番」をベースにしたブラック流改作。放蕩息子の若旦那の働きに行く先が、お湯屋ではなく全女(全日本女子プロレス)。上がって妄想を繰り広げるのは、番台ではなくプロレスのリング。レフリーになって展開されるエロ妄想。

二席目は「せむし茶屋」。「せむし」だから女にもてないと嘆く大店の主人のため、出入りの職人(?)が自ら「かったい」のメーキャップを施し主人に随行するという噺(米粒をすり潰して梅干の皮を顔に貼りつける)。「かったい」というのは癩病で容貌の崩れた人のことで、要するにハンセン氏病のこと。「ハンセン氏病よりはせむしのほうがマシ」とばかりにお茶屋の女の子にもてて喜ぶ主人。一方、差別的対応にむかついた職人は顔を洗ってしまい…というストーリー。

最後はブラック流「七度狐」。某同盟とのひと悶着の放送禁止枕(「リアル強情灸」という一言には笑った!)、立川文都師匠惜別の意味を込めた毒気と愛情に満ちた枕から、文都師匠と立川志雲(現・雲水)師匠の二人の、関西人を主人公にした「七度狐」。ブラック師匠は関西弁が巧み。このあたりにも師のセンスと感度の高さを垣間見る。道端の自販機で買ったカップヌードル(300円)を投げ捨てたところ、それが狐の頭からびしゃーと。怒らせた狐は美女に化けて性的な侮蔑的な辱め・騙しを受けるという、これまた放送禁止なエロなストーリー。大笑いしました。俺、文都師匠とは個人的に交流があっただけに笑いの中にも感慨深げ。

初めて生で聴いたブラック師匠。これは癖になりそう。毒だわ毒。すてきな毒。

爽やかなランチから、濃度の高い毒々しい午後まで。これはこれで、最高な一日でありました。

★マーケティング視点★
怖くてメディアに載せることができない。昔で言えば禁演落語。これは「生」で聴きに行くしかない。これぞ落語、大衆演芸の醍醐味なのだ。誰とも似ていない、変わりが効かないブラック師匠。