観光に頼らない地場産業の創生・活性を。イエス!コト販売

清水屋に限らず、多くの大型商業施設、特に百貨店がしている失敗。それは「モノ売り」だ。

百貨店がモノを売るのは当たり前だろ!という声が飛んできそうだが、もうモノだけ並べていても売れないのです。ネットを駆使できる人はネットで探して、できるだけ安い商品を買うことができる時代。イオンに行けば、多種多様なテナント、ブランドが楽しげにラインナップされていて、もう百貨が揃っています、百貨店です!なんて顔して、モノだけ並べていても売れない時代なのです。

これまで通りの販売スタイルではamazonや楽天に到底太刀打ちできるものではありません。

では、どうするか?モノ販売を止め、「コト販売」に切り替えるのです。

百貨店には「空気」がある。お客様に「空気(感)」を提示できる。それがamazonや楽天にはできない強みです。リアリティです。

もっと具体的に言うと「憧れ」や「かっこよさ」、「便利さ・利便性」、「ちょっと上の暮らし・ライフスタイル」を、来店者に気づかせてあげればよい。

もっともっと具体的に言うと、今の百貨店には「提案力」が欠けています。「憧れ」が表現できていません。

ワクワクしないもん。「わーい!」とか「わお!」とか「おぉ!」って思わないんだもん。今の百貨店。

例えばお茶碗とかも、単体で売るのではなく、お酒やお米、炊きたてのご飯と一緒に売ればいいのになぁって思います。

炊きたてご飯の試食コーナー+炊飯教室+お茶碗の販売+コメの販売+道具の販売+お味噌汁の試飲+お漬物の試食+美味しくご飯が炊ける台所(キッチン空間)+α+β+γ・・・それらが混然となって空間化されている百貨店(の、いちコーナー)。

どうすか?美味しく感じないすか?ナイスじゃないすか?俺はナイスだと思うんすけどね。

これを「ライフスタイル展示」と言います。

そりゃぁね、手間ですよ。面倒くさいですよ。「ライフスタイル展示」。でも、これなら人を惹きつけることができる。モノをもっと輝かせて見せることができるのです。

清水屋で言うと本屋。宮脇書店さん。書店員ポップが弱かったなぁ。控えめ過ぎる。奥ゆかし過ぎる。もっと宣伝していいのに。酒田人気質で控えめで…なんて言ってると永遠に売れないよ。これも「提案力」の一表現なんですよ。書店員さんによる手書きポップ。「おススメします!こんなに面白いですよ!読むと楽しいですよ!豊かな気持ちになれますよ!」ってことですからね。書店員ポップ。

本屋にあった「月刊 庄内小僧」。苦労してるのも、がんばってるのもわかる。わかります。同じ酒田人としてよくわかる。よくわかるけども、なぁ。なんだかなぁ。もっとやりようあると思うの。もっともっと、考えて完全すべき点がいっぱいあると思ったのですよ。あたしは。

★マーケティングの視点★
コト販売を行うに際し、コト消費の実態も知るべきです。

(生産者の)顔の見える野菜も「体験」売っている一例。自分で作った安心野菜な気持ちになる。生産者の顔を見せることで「安心」「手作り」というコト(状況・環境)が生まれている。

遠足型消費もそうだ。高級ブランド品よりも小さな贅沢を求める志向。海外旅行(遠出)よりも、ショッピングセンターやアウトレット(遠足的な移動距離)で幸せ気分を味わう志向。コストコやイケア、イオンに家族みんなで出かけて楽しむスタイルの消費パターン。

中でもコストコ。複数の家族で連れだって、クルマで相乗りして行って、大量買い。帰りにモノは分配する(それぞれの家族が安くモノを手に入れられる。しかもちょっと楽しい)という買い物体験を売っている。

さらに、これら成功事例を真似するのではなく(成功事例に学ぶのは良し)、新しいコト販売のスタイルを知恵を絞って、自ら考えるべきなのです。