第62回人形町らくだ亭@日本橋公会堂⇒「谷や」

 人形町らくだ亭(第62回)@日本橋公会堂

春風亭朝太郎:「子ほめ」
隅田川馬石:「粗忽の使者」
露の新治:「中村仲蔵」
―仲入り―
五街道雲助:「持参金」
春風亭一朝:「死神」

独りでいく落語会も好きだけど、好きな人達と連れ立っての落語会も大好き。果たして最上質な夜でした。

開口一番は、初めて聞く春風亭朝太郎さん。ネタは「子ほめ」。この春風亭朝太郎「子ほめ」が面白かった。誰系の「子ほめ」なのでしょう?一朝師匠から?初めて聞くクスグリというか部分が多かったです。

こんなに仕上がっている前座さんがいてよいのでしょうか?落研出身?二つ目クラス、真打クラスでも、もっとぐだぐだな人がいますよ。比較してしまいました。普通に上手いです。良い声だし、通る声だし。高座も落ち着き払っていて、噺運びも堂々としたもの。立川笑二さんはスーパー前座と言われていましたが、彼とはまた一味違う正統感。久しぶりと言うか、こんな正統派の大型新人は初めてです。

久しぶりに聴く馬石さんは「粗忽の使者」。こちらもどっしりとした落ち着きっぷりが観客の安心感を醸し出します。

出色の出来映え(まさに高座映えしていました。今日一の出来栄え)だったのが、露の新治師匠の「中村仲蔵」。


松之丞さんの「中村仲蔵」も惚れ惚れしますし、大好きなのですが、また彼のとは違った外連味と味わい。新治師匠の独演会に無性に行きたくなりました。新治節に浸かりたい。酔いたい気持ちです。上方漫才とは違って、基本、上方落語はあまり好きではない俺ですが、新治師匠には惚れ惚れしました。桂吉弥さんに続く、大好きな上方落語の使い手登場です。

ときに、露の新治師匠の「中村仲蔵」を聴いて初めて、仲蔵が斧定九郎のモデルにした「御家人(三村新次郎?此村大吉?)」に興味が沸きました。ワイルドクールなその姿が舞台上にくっきりと浮かび上がったからです。師匠の噺が素晴らしかったことの証拠です。

調べてみますと此村は沢山映画化されてるようです。然もありなん。だってハードボイルドで恰好いいもんなぁ。ますます噺としての「中村仲蔵」も好きになりました。

仲入り後は雲助師匠の「持参金」。「もう半分」などのダーク雲助とは対極の、今宵の師匠は“ポップ雲助”。この手の軽い噺もお見事としか言いようのない高座。新治師匠の高座とは違った意味で、また惚れ惚れ。一朝師匠の「死神」へのナイスパスです。

トリは一朝師匠の「死神」。くしゃみ落ちでした。


終わってから、連れと二人で、人形町(水天宮前)の「谷や」へ。井之頭五郎的に、ぶらり偶然の入店です。結果、当たりでした。「谷や」はアテも飲み物も割と揃ってて中々でした。リピートしたいお店。これで並盛。腹ペコ君にも嬉しい店かも。

何度も言いますが。いやぁ、今宵は楽しかった。あっという間の二時間でした。落語万歳。大好きな仲間、万歳。おばんざい、万歳。